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(13) 税務上の課題

再生債務者は、再生手続開始後にその有する一切の財産につき価額評定をしなければいけません。この際に生じた資産の評価損益は、会計上、その計上が強制されるものではありませんが、法人税法では、下記(イ)の取扱いにより益金の額及び損金の額に算入することとされています。
また、取引金融機関等からの債務免除額は、債務免除益として会計上、税務上ともに収益としても認識されるため、多額の債務免除益が生じた場合などには、当然に法人税等の負担も生じることとなります。
債務免除が行われると、将来返済すべき債務は減少しますが、追加の資金援助を受けるというものではないため、会社のキャッシュに変動は生じません。このような状況で債務免除益による多額の法人税負担が発生してしまうと、せっかく再生計画の認可を受けたとしても税負担により資金繰りが悪化し、事業計画が頓挫してしまうことになりかねません。
そこで、税務では、このような特殊な状況にある法人に対して下記(ロ)のような特例を設けています。
(イ) 財産評定損益の税務上の取扱い
法人税法では、資産の評価替えによる評価損益の計上は原則として認められていません。しかし、民事再生の場合の資産の評価損益については、法人税法でも特例として、再生計画の認可決定があった事業年度の益金の額及び損金の額に算入することとされています。
この場合の資産の評価損益は、会社更生の場合と異なり、会計上その計上が強制されているものではないため、再生会社が評価損益の計上を会計上行わなかった場合に、法人税の別表で調整することとする「別表添付方式」と、会計上も評価損益の計上を行う「損金経理方式」の2種類に処理方法が区別されます。なお、別表添付方式においては、含み損益が1,000万円に満たない資産の評価損益は認識の対象から外されることとされているため注意が必要です。
また、他にも会社更生と異なる点として、会計上(民事再生法上)と法人税法上で、資産の評価方法に違いがあるということが挙げられます。具体的には、民事再生法では、再生手続開始の時の資産の清算価値により評価するのに対し、法人税法では再生計画認可決定日の資産の使用収益価額を時価とし評価損益の認識を行うこととされているため、会計上と法人税法上の評価損益額に差異が生じる可能性があります。
(ロ) 繰越欠損金の取扱い
再生計画認可の決定があった場合には、通常多額の債務免除益が計上されます。再生計画を実施する会社は税務上の欠損金を抱えていることが予想されますが、法人税法では過去7年分(平成13年4月1日前に開始された事業年度において生じた欠損金は5年分)の繰越しか認められていないため、それ以前にいくら多額の欠損金が生じている場合においても、この債務免除益が7年分の繰越欠損金額を超えているときには、その超えた部分につき法人税が課税されることとなってしまいます。
そこで再生会社における控除可能な欠損金の額については、一般の法人とは異なる特殊な規定(特例欠損金)を認め、債務免除益等の計上による税額発生を防ぐ措置をとっています。
具体的には再生計画認可の決定に伴って発生する債務免除益、財産評定による評価替え益(財産評定による評価替え損と相殺したネット金額まで)及び役員や株主等から受ける私財提供益の合計額を限度に、過去に生じた欠損金額のすべてを控除することが可能となります。
再生手続を行う場合には、その決定により生ずると予測される債務免除益等の収益と、控除することが出来る欠損金額を検討し、キャッシュフローを悪化させるような納税負担が発生しないようにタックスプランニングをする必要があります。
(ハ) 同族会社の留保金課税
同族会社の留保金課税とは、株主と社長が同一人物であるようなオーナー会社において、通常の上場会社のように獲得した利益を株主に配当せず、会社内に留保して株主個人の税負担を減少させるという行為を抑制するための法人税法の規定で、一定額以上の利益を会社内部に留保した場合には、その部分に対して追加で税金を課すという制度です。
具体的には、持株比率の最も高い株主グループの保有している株式が、その会社の発行済株式の50%超を占めるような会社の場合に、通常の法人税の他にその事業年度に発生した利益金額のうち社外流出(配当や役員賞与など)しなかった金額のうち一定額以上の部分に対して10~20%の税率で追加課税を行うというものです。
ここで注意しなければいけないのは、発生した利益金額とは欠損金の控除を行う前の金額であるということです。つまり、多額の債務免除益等をせっかく特例欠損金の制度をもって相殺したとしても、留保金課税の対象にはなってしまうため、本来の法人税は0円、留保金課税のみ多額に発生するという事態が生じるケースがあります。
留保金課税の税率は、通常の法人税率に比べて低く、また一定の控除制度があるというものの、やはり経営再建中の会社には重くのしかかる負担となりますので、事前のタックスプランニングが重要となってきます。